ヲタクやめたい.com

グローバルもいいけど、ちゃんと探せば日本もまだまだ面白いと思うよ

「ない」から考えるアイドル

      2015/07/13


覚えていますでしょうか?
このブログは元々アイドルヲタクとしてのブログなんです。
だからアイドルヲタクについて書きます。

自分で言うのも変な話ですが、僕は結構いろんなコンテンツにはまって(そして飽きて)きた人間だと思います。
そんな僕が思うに、今のアイドルほどヲタクっぽいコンテンツはないと思います。


ヲタクの定義

 

まず、ヲタクっぽいっていうところから定義します。
ここで言うヲタクっぽいとは岡田斗司夫が言ってるヲタクみたいなものです。

ヲタク死んでるじゃん!

そんなツッコミはさておき。
この本で岡田斗司夫は色んなヲタクのパターンを挙げてますが、彼が肯定的に語っているのは「世間の価値観、認知度は関係なく自分の好きなものを愛し続けるヲタク」を好ましく語っています(そう読める)。
さらにそんなヲタクは死んだというのがこの本で言われていることですが、僕はこのヲタク像に賛同しますし、実際スタンスとしてはそうあるべきだと思います。
「俺ヲタクなんだぜwwwww」っていうステータスとしてのヲタクとかちょっと無理ですね。こっちは遊びでヲタクやってるんじゃねぇんだよ!

この「世間の価値観、認知度は関係なく自分の好きなものを愛し続けるヲタク」を少なくともここで言うヲタクと定義します。

ここではそのスタンス持つ人をヲタクとして定義するわけです。
大量に金を使ってるとか、見た目気持ち悪いとかそういう定義ではないということです。

 

パフォーマンスアイドル

 

そこでアイドルがどうして最もヲタクっぽいコンテンツかを説明する前に、パフォーマンスアイドルについて書きたいと思います。

僕は接触アイドル(要は握手させることを売りにしてるアイドル)にはまっていた時期が圧倒的に長いのですが、そこで他界した人がたまに言うのは「そのアイドルってパフォーマンスクソじゃん」っていう批判。もしくは「あっちの方がパフォーマンス良いから」っていう他界事情。しかも鬼の首を取ったように自信満々に言ってくることが多い。
パフォーマンスっていうのは歌や踊りのことと考えてください。

あくまで個人的な意見ですが、アイドルにパフォーマンス求めるのって変。

いつも思うんですが、パフォーマンスガーな人って歌も踊りも上手いアーティストっぽいアイドルより、歌も踊りもプロであるアーティスト追っかけた方がいいと思うんですよ。安室奈美恵とか(そのへんの世界に疎くてすみません)。
ここからは実際に追及したことないので予想になります。

「じゃあプロのアーティスト追っかけたら?」ってことを言うと「プロのアーティストは握手できない」って返ってきます。

この時点で「握手>パフォーマンス」になってて彼の言ってることが崩壊してます。
握手>パフォーマンスなら接触アイドルでもいいじゃん。理由としては第2位以下の要素なのになんであんなに自信満々だったの?って思います。

すると次に来るのは接触アイドルとパフォーマンスアイドルの差。つまり「歌や踊りが上手い子の方が握手に付加価値がある」っていう論理が考えられます。
あれだけ自信満々に言ってたパフォーマンス要素は所詮付加価値かよwwwww

しかも付加価値を語り始めたら何が優れてるとかいう議題に決着つかないでしょ。
付加価値とか言い始めたら接触アイドルに対する個別的な思い出語られるのとあんまり変わらない。付加価値って人によりけりだし。

ついでにその付加価値も疑問。
ヲタクってそこまで歌や踊りが上手い人と握手したいって言うほどあなたに歌や踊りに対する背景や拘りあります?って人ばっか。
僕が「元レッチリのジョン・フルシアンテと握手したい」って言うのと、プロを目指してバンド活動してるロック小僧が「ジョン・フルシアンテと握手したい」というのではレベルが違う。
つまり僕の場合はただのミーハーなわけです。そしてパフォーマンスガーなヲタクも歌や踊りに関してミーハーであることが多い。アイドル現場に通い始めてから歌や踊りに差異を求めようとし始めた人ばっかじゃないですか。
ミーハーの感じる付加価値って大したことないよね…。

別にミーハーが悪いとは思いません。
ただミーハーがパフォーマンスガーしてるのってすごく滑稽。結局あのドヤはミーハー気質から来てたのでは?って思うと若干悲しくすらあります。

つまり何に重点を置くかはヲタク次第であって、パフォーマンスは加点要素であってもそんなに大きな理由ではない。
ここで僕が一番言いたいのはパフォーマンスガーに対する批判じゃなくて、何に重点を置くかはヲタク次第であるということです。

 

アイドルの特徴

 

さて、次にアイドルの特徴について考えます。

アイドルってアーティストではないのかと言われたら、具体的な境界はわからないけどとりあえず違うと思います。
アーティストではない。何故ならパフォーマンスがプロ級に上手かったらアーティストになっているから、と考えるのが妥当です(実際はそうとも言い切れませんが)。

で次にアイドルの特徴としては可愛いが思い浮かびます。
可愛いという基準は測るのが難しいですが、可愛いで売れるだけならテレビに出てるタレントの方が可愛いという面で評価されている気もする。

では握手か。
握手はアイドル独特のものですが、それもここ何年かの話。この前の事件でこのシステム自体の存続危ぶまれてますし。
大体「握手したらアイドル」ならアメリカの大統領は世界的アイドルになってしまいます。

職業アイドルをイメージ化すると、「歌って踊って」「それなりに可愛くて」「握手してくれる」の三要素が最初に浮かぶんじゃないでしょうか。
しかしこの三要素は述べた通り、どれも中途半端。

じゃあ何がアイドルの特徴なのか。
これも僕の個人的な考え方ですが、「何もない」のが特徴だと僕は考えます。

プロ野球選手の特質は野球、ギタリストはギター、作家は文章。職業として成立する以上何かしらの特質があるはずです。
しかしアイドルには具体的な特質がわからない。歌や踊りが下手でも歌って踊るし、そんなに可愛くなくてもアイドルを名乗れるし、この前の事件で握手自粛したってアイドルである。
だから僕はアイドルにパフォーマンスを求めること自体がおかしいと思っているわけです。アイドルは上手な歌や踊りを提供するものではない。

さて、この「何もない」ことに特徴付けられるアイドル。
「何もない」って書くと無能感すらありますが、今って「ない」ことがコンテンツの強みになりうる。
別に「無から有を生み出す」みたいなアカデミックなことを言ってるわけではありません。

初音ミクに具体的な設定がなかったからこそヲタクが勝手に初音ミクの世界を広げたように、「ない」ことは多くの要素を受け入れる余地がある。
アイドルと初音ミクでは単純に次元が違うので同じようにはいきませんが、アイドルにおいて「ない」ことは敢えて選択する魅力の幅が広いことに繋がる。

例えばイチローの魅力を問えば、表現に差はあれど野球のスキルに集約される。つまり基本的にイチローは野球を以って説明される存在である。あくまで基本的に。
でもでんぱ組.incの魅力を問うとかなりバラバラになると思うんですね。
曲が好きって人もいるでしょうし、誰々が可愛いっていう人もいるでしょうし、誰々が面白いって人もいるでしょうし、ディアステ云々って人もいるでしょうし、現場が面白いって人もいるかもしれません。
何に重点を置くかに自由度が高い。というか置くべき重点が与えられていない。
この一言が言いたいがためにパフォーマンスアイドルについて長々と語りました。

 

アイドルヲタク

 

で、何がヲタクっぽいかという話ですが、「世間の価値観、認知度は関係なく自分の好きなものを愛し続ける」のがヲタクという定義を思い出してください。
要は「一般人から見て魅力のわかりにくいものを愛している奴」がヲタクなんです。

誰が見たって可愛い子を可愛いって言うのは当然なんですよ。
誰が聴いたって上手い歌は上手いし、誰が見たって上手いダンスは上手い。これが一般的感性。
でも上記の通り、アイドルは「可愛さも歌も踊りも中途半端」な存在なんです。
ドルヲタじゃなければ「テレビに出てるタレントほど可愛いわけでもなく歌も踊りも中途半端なやつに貢いでるとか理解不能」って思うでしょう。
そりゃそうです。特質不明の女の子の集団に惹かれてる理由なんて普通わかりません。

でも理解不能こそヲタクの本質だと思うんです。
非ドルヲタの無理解に対して、「いやいや、それなりに可愛い+それなりに歌って踊る+握手できる。それがアイドルの魅力なんだ!」って普通言わなくないですか?
弁解するのがめんどくさいっていうのも理由ですが、それ以前にその3つを足したのがアイドルの魅力って思ってる人っているんでしょうか。特徴と魅力は違うと思うんですよね。

多分ですが、非ドルヲタの無理解に対しては「まぁお前はわからんだろう」という開き直りに近い態度になるんじゃないでしょうか。
それは自分自身が具体的な魅力がよくわからないからです。僕だってベルハーの何が魅力なのかよくわからない。歌や踊りが上手ければまだ説明は簡単だった…。
そしてそんなよくわからない魅力に惹かれていることを自分自身で理解しているからわざわざ説明しない。自分すらぼんやりとしかわからない魅力を他人に説明するのって無理です。だから僕の家族は「この子の何がいいの?ねぇなんで?」とか聞かないで><

そんな無理解を誘引するようなものをわざわざ愛している人こそヲタクであり、アイドルの特質は(個別具体的な例を除けば)理解不能。

だからこそ逆にどんな理由でアイドルを追っかけようがほぼ肯定される。
さっきのイチローの話に例えると「僕はイチローが泳いでる姿に惹かれて」って言うのはさすがに無理があると思います。
いや逆にこんな理由でイチローが好きな人はヲタクと言ってもいいんじゃないでしょうか。ここまでくるとさすがにイチローそのものを愛しすぎててイチローTO(トップオタク)の称号をあげたいくらい。
ただしイチローの場合は野球という特質が強すぎてそんな考えには至らないと思いますが。
それに「イチロー⇒野球が上手い」という一般的に共有された概念があるので、「イチローの泳いでる姿が好き」なんて言ったら「いやそれはイチローの魅力ではない」って言われると思います。試してくれる人待ってます。

しかしアイドルは特定の特質がない分、どんな理由も許される。
「僕はもがちゃんの金髪が好きでね」「みりんちゃんの走ってる姿(全力坂)が好きで」「ひゃだいんが作曲してるから」「俺もえいたそと同じように地方から出てきて」などなど、別になんでもいい。
「でんぱ組好きならなんでもいいじゃん」っていうヲタク共同体的思考もあるでしょうが、どんな理由でも「さすがにそれはない」と言われることはまずない。
「僕はでんぱ組のプー・ルイが好きで」っていう異次元回答は考慮しませんよ。

ただでさえ画一的な魅力や特質がなく、おまけに愛する理由は千差万別。
そんな理解不能さ。だからこそ僕はアイドルというコンテンツこそが最もヲタクっぽいコンテンツだと思うんです。

 

さらにヲタクコンテンツ化するアイドル

 

でもって今、アイドルの「ない」は自身のアイドル像すらも「なくして」いる。
「ない」からこそ「なんでもあり」という逆説的な考えは最近のアイドルのトレンドなのではないでしょうか。
BiSがカウンターアイドルとして、全裸PVとかアイドルっぽくないことを敢えてしてきたのはあまりにも有名ですね。

それ以外にも例えばアイドルソングって何か?前奏でジャージャーしてAメロはこうでBメロはこうでサビはこうで、みたいなある程度の曲のパターンってあると思います。
しかし今そのアイドルソングの黄金パターンは選択肢の一つでしかない。

ベビメタみたいな曲に走ったり、ライムベリーやリリスクみたいなユニットもある。
ベルハーも今までのアイドルソングの流れからすればかなり異質。
Especiaの曲なんてもうアイドルである必要を感じさせないアーバン感です。

ちなみに本日発売、昨日フラゲのEspeciaのアルバム「GUSTO」オススメです!今も聴いてます。

 

アイドルは徐々にですが一般人の理解を得てきています。
このパターンはアニメも同じでした。市場が大きくなれば市民権を得てくる。

アニメはいわゆる「萌え」という概念の元にある程度ジャンルが収束してしまった。
萌えアニメの枠にはまらないものもたくさんありますが、間違いなく「萌え」を前提にするとわかりやすいものが増えた。要は社会がアニメに萌え要素を期待した背景に迎合した。
けいおんやISで豚してたくせに偉そうに「迎合」とか言っちゃうの自分で笑えます。

しかしアイドルは前述した通り、ここに来てさらにそのジャンルがわかりにくくなっている。
アニメはクール単位で終了するとか事情が違うので完全に同じ土俵で比べるのは間違ってますが、でもジャンルとして進んでいる方向性が真逆であるのは事実です。
理解不能こそがヲタクの本質。そう考えると、さらに理解不能へと進むアイドルはやっぱりヲタクっぽいジャンルなんじゃないかなぁって思います。

そして誰もが納得できるような明確な理由なんて「ない」んだから誰を推したっていいんだよ。

 - アイドル語り